梅雨明け発表と、スポーツドリンクの売上の関係|トレンド予報6月

こんにちは。流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。気象庁発表の長期予報によると、今夏は猛暑の可能性が高い予想となっています。すでに夏が始まって1か月経過しましたが、夏の暑さのピークはこれからです。猛暑の夏、大きな売上の伸びが期待できるといえば、熱中症対策関連商品ですね。今回はその代表格であるスポーツドリンクと、気象庁が発表する梅雨明けとの関係性について、一昨年(2020年)と昨年(2021年)のデータを用いて調べてみました。

速報値と確定値

気象庁ホームページの文章を引用します( https://www.data.jma.go.jp/cpd/baiu/sokuhou_baiu.html)。『現在までの天候経過と1週間先までの見通しをもとに、梅雨の入り明けの速報を「梅雨の時期に関する気象情報」として発表しています。』これを速報値と呼んでいます。一方、『後日、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討を行い、その結果、この情報で発表した期日が変更となる場合があります。』

毎年9月最初の平日に発表される夏の天候振り返り資料の中で、梅雨入り・梅雨明け時期の事後検討結果が解説され、そこで示された期日が確定値となります。当初発表された日付と、実際に統計記録として残る日付が違う場合があるということです。

梅雨入り・梅雨明けの日付以外にも、当初発表のデータ(速報値)が事後解析を経て確定値となるものがありますが、いずれにしても速報値は統計的な記録には残りません。

2020年、2021年の各地の梅雨明け発表状況

まず、2020年と2021年の各地の梅雨明けの状況を振り返ります。2020年は沖縄地方以外、平年より梅雨明けは遅く、東海~東北南部では8月にずれ込み、また東北北部では特定しないということになりました(表1)。

2021年は、前年とは状況が少し異なりました。南西諸島と四国地方で平年より遅い梅雨明けとなりましたが、それ以外の地方は平年より早くなりました(表2)。

なお、両年とも一部地域で±1日の範囲で調整が入りましたが、速報値と確定値の間で大きな違いはありませんでした。

スポーツドリンクの購買動向

ここで、スポーツドリンクの売上と気温の関係を確認します。下図は、横軸が最高気温、縦軸が売上としたときの両者の関係を示す散布図です。気温が高くなればなるほど売上も伸びています。

ただ、その伸び方はシンプルな比例関係を示す一次関数ではなく、高温度帯ほど売上の伸びる傾きが大きくなる指数関数的なプロットとなっています。データ期間は2020年6月~2022年5月の2年間ですが、年によって気温と売上の関係が異なる傾向は見られません。


次に気温と売上の推移を時系列グラフで確認します。ここでフォーカスしたいのが、売上が急増するタイミングです。

梅雨明け発表は売上急増のシグナル

関東におけるスポーツドリンクの売上推移(図3)を見れば分かるように、2020年と2021年とでは、ピークに向けて売上の急増するタイミングが違います。そして売上急増するタイミングと梅雨明け発表のタイミングが連動しているようです。

梅雨が明ければ晴れる日が多くなり、梅雨明け前に比べて気温が一段高くなるのが一般的です。その気温差に大きく反応しているということも当然あるでしょう。つまり梅雨明け発表のタイミングは、前後で気温の変化が大きく、急に暑さが厳しくなる目安という認識も、非常に重要です。それに加え、梅雨が明ければ本格的な夏到来、厳しい暑さが続きます。それまでと比べ、少し多めに買って家庭にストックしておこうと考えるお客さまが増えることも容易に想像できます。

つまり、スポーツドリンクをはじめとした熱中症対策商品にとって。梅雨明け発表のタイミングは特に欠品に注意が必要な、重要なポイントと言えます。

なお「売りドキ!予報」サービスでは、「12週の予測」メニューの中で、売上が伸び始める時期的な目安に関する予測情報が提供されていますので、是非ご活用ください。

データ分析上の注意事項

前項で、速報値と確定値の解説を行いましたが、今回のような気象庁の発表する情報に反応して消費が喚起される場合、確定値ではなく、実際に気象庁が発表したタイミング(すなわち速報値)に連動します。このようなデータ分析を行う場合は、ご自身で記録として残しておいたり、当時の報道等を閲覧したりすることで速報値を確認するようにしてください。

※抽出データ
株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている、「スポーツドリンク」カテゴリ(業態:ドラッグストア)の週次の買物指数(買物指数は来店者100万人における購入金額)。

 

株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美 氏
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー、地球温暖化防止コミュニケーター。