ラニーニャ現象継続 早い冬の到来に注意|トレンド予報8月

今年の夏は全国的に雨が多かったものの気温が高く推移し、蒸し暑さが続いた夏となりました。長雨で低温となった前年8月と比較すると、立ち上がりが遅れている冬商材も多いのではないでしょうか。今回のトレンド予報では、現在発生中のラニーニャ現象と日本の天候について解説したあと、今後秋から冬にかけての天候の見通しと冬商材の需要について解説します。

ラニーニャ現象と日本の天候

今年の夏は全国的に雨が多かったものの気温が高く推移し、東京では最高気温35℃以上の猛暑日日数が16日と過去最多を記録しました。暑さの原因のひとつとも言えるのが「ラニーニャ現象」です。

 ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より低くなり、1年程度続く現象です。逆に、同じ海域で海面水温が平年より高い状態が続く現象はエルニーニョ現象と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生し、世界中の天候に影響を及ぼします。ラニーニャ現象が発生すると、日本では夏は暑く、冬は寒くなる傾向があり、今年1月2月の寒さや、この夏の暑さはラニーニャ現象の特徴が現れていたと言えます。

気象庁によると、ラニーニャ現象は今後さらに冬の初めにかけて続く可能性があるということです。ということは、今後の天候はどうなるのでしょうか。
気象庁の8月23日発表の三ヶ月予報によると、9月と10月は全国的に気温が平年より高い可能性が高く、11月はほぼ平年並の予想です。つまり、9月から10月にかけて残暑が続いたあと、11月は平年通り季節が進み、冷え込む可能性があるのです。



その後、冬の天候が気になるところですが、ラニーニャ現象と日本の天候の関係は、冬の前半に相関が強く、後半は相関が不明瞭になる傾向があります。今回のラニーニャ現象が冬の初めまでという予想も踏まえると、少なくとも晩秋から冬の初めは、冷え込みやすい傾向にあると言えるでしょう。つまり冬商材の需要は、秋の前半は高温傾向によって低迷する可能性がありますが、秋の後半は低温傾向によって、いっきに立ち上がる可能性があるのです。

また、今回のラニーニャ現象は2020年夏に発生し、2021年夏の小休止を挟んで現在まで継続しています。つまり、ラニーニャ現象の秋としては2020年、2021年に次ぐ3度目の秋を迎えることになります。そこで、過去2年の秋を類似年として振り返ってみたいと思います。

まずは前年2021年の秋です。9月の後半から10月の前半にかけては全国的に顕著な高温となりましたが、10月後半から急に低温となり、西日本では11月にかけて低温が繰り返されました。高温傾向から一転して低温傾向になったこと、西日本で低温傾向が持続したことは、ラニーニャ現象の特徴でもあります。

続いて、2020年の秋はどうだったでしょうか。9月半ばまで全国的に高温傾向が続いたあと、西日本や東日本を中心に低温が繰り返され、ラニーニャ現象の特徴が現れていました。ところが、11月後半は一時的に、全国的に顕著な高温となりました。


このようにラニーニャ現象の特徴は毎回同じように現れるわけではありません。高温傾向から低温傾向に転じるタイミングが異なれば、気温が大きく上下することもあります。過去の統計情報だけに頼らず、最新の気象情報を参考にオペレーションしていくことが重要となります。

冬商材の売り上げと気温の関係

今年の秋から冬にかけては、高温傾向から低温傾向に転じる可能性があること、そのタイミングを把握するためには気象情報の利用が不可欠であることをお伝えしました。気象情報を有効に活用するポイントは、商材の売り上げと気温の関係を具体的に把握することです。秋から冬にかけて、気温の影響を受けやすい商材と、売り上げが伸びやすい気温帯を見てみましょう(インテージSRI+より日本気象協会が解析)。

■最低気温が25℃を下回ると売れるもの

お盆を過ぎて最低気温が25℃を下回り熱帯夜から解放されるなど、暑さが峠を越えるといち早く売り上げが伸び始めるのが以下の商材です。

スナック、マーガリン類、菓子パン・調理パン、チョコレート、スープ類、
みそ汁・吸物類、煎餅・あられ、納豆、和風食品(調理済おでんを含む)

気温が高い夏の間は食欲が低下するため、パン類や納豆など朝食メニューの売り上げが減少しますが、暑さが峠を越えると売り上げが復活します。猛暑を体感したあとは少し気温が下がるだけでも、秋の到来を感じるものです。スープ類や調理済みのおでん、みそ汁・吸物類も、真夏を過ぎたあとの気温低下にいち早く反応する商材です。

■最低気温が20度を下回ると売れ始めるもの

最低気温が20度を下回り、朝晩長袖が必要になってくると伸びるのが以下の商材です。

シチュー、中華風食品(中華まんを含む)、ちくわ、はんぺん、わかめ・こんぶ類、味噌、紅茶、フレッシュクリーム

シチューや中華まんなどの暖かい食材の売り上げが伸びるほか、ちくわ、はんぺん、わかめ・こんぶ類などの売り上げが伸び、家庭でおでんを作る人が増えることがうかがえます。煮込み料理をする人が増えることから、味噌の売り上げが伸び始めます。紅茶やフレッシュクリームが伸びることから、コールド飲料よりもホット飲料を選ぶ人が増えるようです。

■最低気温が15度を下回ると売れ始めるもの

最低気温が15度を下回り、いよいよ本格的に寒さを感じ、コートを着るような気温になると売り上げが伸びるのが以下の商材です。

春雨・くず切り・豆腐類、焼肉シャブシャブのたれ、ポン酢、液体だし、ココア、揚げ物

春雨・くず切り・豆腐類などの鍋具材や、ポン酢などの売り上げが伸び、食卓で鍋を囲む家庭が増えるようです。食欲の秋も佳境となり、揚げ物などのカロリーの高いものがよく売れるのもこの時期です。

■最低気温が12度を下回ると売れるもの

最低気温が12度を下回り、ダウンを着始めるような冷え込みになると、以下の商材の売り上げが伸びます。

使い捨てカイロ、入浴剤、ハンド&スキンケア、漢方薬、日本酒、うがい薬

使い捨てカイロやハンド&スキンケア、入浴剤、うがい薬の売り上げが伸びるなど、いよいよ本格的な寒さと乾燥の季節が到来し、体調管理への意識が一段と高まることがうかがえます。

気象情報の有効活用を

先にもお伝えしました通り、今年の秋から冬にかけては、高温傾向が続いたあとに、急に低温傾向に転じるタイミングが来ることが予想されます。そのタイミングに合わせて棚に商品を補充したり、販促を打ったりすることが重要になるでしょう。各商材の売り上げが伸びる気温に着目しながら、気象情報をこまめにご確認いただくことをお勧めします。

日本気象協会では、最大6ヶ月先までの気象予測を提供しています。前年の気温や売り上げと、今年との差異を確認しながら、生産や販促、棚割り計画などに役立てて頂くことが可能です。

また、気象データと株式会社インテージの保有する全国小売店販売データ(SRI+)を掛け合わせることで、製造業向け簡易版商品需要予測サービス「お天気マーケット予報」を提供しています。

気象要因だけでなく、直近の社会的要因による需要の変化をリアルタイムに監視しながら、気象予測に基づき約 440カテゴリにおける最大6ヶ月先までの需要予測を行っています。

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